御用聞きケアマネの「言いなりケアプラン」の実例！ケアマネが利用者の言いなりになる現実とは？

今回は、御用聞きケアマネの話です。

ちょっと思い浮かべてみてください。

あなたの作成したケアプラン、利用者や家族が言ったことをそのまま書いていませんか？

現役ケアマネである私も、漏れなく言われた通り書いています。

でも本来のケアプランは、課題整理総括表やICF思考を使って、課題や意向を導き出し作成するもの。

利用者や家族の言うがままに作成されたケアプラン、それを何というか知っていますか？

そう！

これが有名な御用聞きケアプラン・言いなりケアプランです。

実際にどんなものがあるか、実例をまとめてみました（居宅・施設、どちらのケアプランも）。

ちなみに国は、利用者の意思も家族の意向も踏まえて、ケアプランを作成するよう定めています。

なのに、それを忠実に守れば「御用聞き！」「言いなり！」と言われるのです。

終いには、ケアマネ不要論を唱えられる始末・・・。

御用聞きケアマネの「言いなりケアプラン」10の事例

まずは、御用聞きケアマネの「言いなりケアプラン」の実例を紹介！

「あるある～」と思うものから、「これはひどい」というものまで、10ケースを取り揃えました。

対人援助職の最前線に立っている、私たちケアマネジャー。

「困っているんです・・・」なんて言われたら、それをすぐに解決したくなりませんか。

そんな優しさ溢れる？ケアマネの「言いなりケアプラン」を見ていきましょう。

言いなりケアプランの対極？梅田政宏ケアマネの功績は？急逝までの軌跡や死因、支援者としての凄さを振り返る

どうでしょう。

紹介した10の実例は、実際に居宅ケアマネの知人に教えてもらったもの。

施設ケアマネの私でさえ、「大変だなあ・・・」とため息です。

施設ケアマネの言いなり御用聞きケアプランとは？

言いなりの「御用聞きケアプラン」なら、施設ケアマネだって負けてはいません。

「月曜日に散歩に連れていけ」

「毎日この運動をやってくれ」

「夕方にお経を読むけど手が不自由だから・・・、木魚を叩いてくれ」

なんていうのもありました！

画一的ではなく、個別支援に取り組むのは大切なことですが・・・。

共同生活の場でもあり、他の利用者もいますから悩ましいのが現実です。

そして施設では、居宅ケアプラン以上に「言いなり」になりがちです。

なぜかって、本人・家族以外にも、もっと強力にプレッシャーをかけてくる存在があるから。

そう！それは施設そのもの！

それこそ個別ケアに取り組みたいのに、施設の「事情」から横やりが入ります。

特に現場からは、「業務があるからできません」と言われることも日常茶飯事。

外出したい・・・なんて大掛かりなものでなくても、「この時間帯にトイレ誘導できれば、オムツを外せそう」みたいなプランも、なかなか実現しません。

居宅ケアマネでも、サ高住や住宅型有料老人ホームに入居する利用者のケアプランは、自由度が低いですよね。

こちらは楽だけど、施設の言いなりそのもので、ケアマネとしてこれで良いのか葛藤してしまいます。

【チェック！】居宅ケアマネはノルマがある？ケアマネ職場でノルマがなくならない理由を解説

【チェック！】なぜケアマネの仕事はブラックなのか？その理由と脱出方法を現役ケアマネが解説

なぜ、ケアマネの「御用聞きケアプラン」はダメなのか？

本人や家族の希望に沿って、一生懸命やってきただけなのに・・・。

それでも、「御用聞きケアプラン」がダメなのは、こんなシンプルな理由があるから。

本人や家族は、ケアマネに生活上の困っていることを相談し、何とかしてもらおうと考えます。

料理は危なっかしいから、訪問介護。

歩くのが不安だから、車イスを借りたい。

単純明快で、わかりやすく問題解決したように見えますが・・・。

果たしてそれで良いのでしょうか？

そもそも介護保険制度は、介護が必要になっても、自立した生活を続けられるようにするのが目的。

そう！

あなたもご承知の通り、御用聞きプランでは、自立を支援することにはなりません。

むしろ、サービスの提供自体が自立を阻害してしまうことになり兼ねないのです。

料理がしんどい・・・なら、座って調理できる環境や「野菜の下ごしらえ」だけヘルパーが支援。

歩くことに不安があるなら、車イスより先に「手すり」や「段差解消」で転びにくい状況へ。

そしてつけ加えると、介護保険の予算は無限ではナイ！。

高齢者はどんどん増え、保険料を払う若者は減るばかり。

一方では、利用者の自己負担は数百円のサービスでも、本当は何千円もの費用がかかっているわけです。

家政婦のつもりでヘルパーを利用する・・・なんて、かつて問題になりましたよね。

その結果、ヘルパーを利用できる範囲や介護度は、改定のたびに限定されてきました。

介護保険の真の目的は、自立支援。

言いなりの御用聞きプランでは、自立支援に繋がらなかったり、介護保険制度を使いにくく変えてしまうばかりです。

「ケアプラン有料化」は、御用聞きケアマネを増やすだけ？

2024年度の介護報酬改定で、導入が検討されているのが「ケアプランの有料化」。

国は、そんな青写真を描いているようです。

ですが一方で、こんな心配も指摘されています。

それは、利用者・家族の権利意識（お客は神様でしょ）が過剰に高まること。

その結果、御用聞きケアマネの「言いなりケアプラン」が増えることです。

ケアプラン作成にお金を払う利用者と家族は、当然、自分がより良いサービスを利用したいでしょう。

そして私達ケアマネは、というより「居宅や施設を経営する法人」は、自分たちの儲けのことを考えるようになります。

利用者が離れていかないよう、御用聞きケアマネの度合いが加速。

多少ズレているご要望にも、「ハイ、喜んで～！」って話です。

また、もうひとつ予想されるのが、セルフプランの増加です。

ですが素人考えのセルフプランでは、海千山千の介護事業所（褒め言葉です！）との交渉はなかなか難しいのでは？

そうなると誕生するのは、「セルフプランの作成サービス」業者。

あるいは介護事業所がサービスの一環として、セルフプランの作成を請け負うこと。

もちろん利用者の自立支援はどこへやら。

介護保険の公平性は、今よりずっと保てなくなることが心配されているのです。

【まとめ】御用聞きケアマネの「言いなりケアプラン」の実例と現実

御用聞きケアマネの「言いなりケアプラン」の実例、思い当たるフシはありませんでしたか？

困っている利用者や家族の姿を見て、すぐに解決したいと思ってしまうのは、もうケアマネの性です。

それに、言いなりの御用聞きの方が感謝されるのも事実です。

しかし「見えているニーズ」だけ摘まんで、チャチャっと介護サービスをあてがうのは、プロの仕事でしょうか。

利用者さんが気がついていないことや、将来の予測まで、見通せるケアマネの方がカッコいい。

・・・なんて、思います。

施設介護の現場でも、ケアプランは、現場の動きや入居者の生活を支援を大きく左右するもの。

チームのみんなをまとめる羅針盤です。

言いなりケアプランも、ある程度は仕方がないのが現実。

でも、御用聞きケアマネは卒業していきたいものですね。